【医師監修】加齢臭が発生する原因とは?ニオイのもとを徹底解明
年齢を重ねるごとに悩みの種になってくる「加齢臭」。現在では男性だけでなく、女性も加齢臭に悩まされている人は多いのではないでしょうか。なぜ加齢臭は発生してしまうのか。加齢臭の原因とは何なのか。簡単にできるセルフチェックも含めて解説します。
2018年11月16日更新
記事の目次
[1] 加齢臭ってどんな臭い?
加齢臭とは?体臭とは違うの?
「加齢臭」という言葉が注目されるようになったのは、2000年に資生堂の研究所が加齢臭の原因物質である「ノネナール」を発見したことがきっかけです。本当につい最近の事なのです。
加齢臭とは、主に中年以降の男女にみられる特有の体臭のことです。
体臭は身体から臭う不快臭のことなので、加齢臭もその中の1つと考えられます。しかし、体臭は年齢に関係なく発生しますが、加齢臭は年齢を重ねるごとに臭いを放つようになります。また、多くの体臭の原因は“汗”とされていますが、加齢臭の原因は“皮脂”なのです。
どんな臭いなの?
臭いには個人差がありますが、一般的にいわれるのはこのような臭いです。
・納豆や生魚のような臭い
・古本のような臭い
・押入れの中のような臭い
・ブルーチーズのような臭い
・お線香のような臭い
・廃油のような臭い
今からできる!加齢臭セルフチェック
加齢臭は自分ではなかなか気づきにくいものです。しかし、周囲の人々が教えてくれるかといえば、遠慮しがちで伝えにくいものでもあります。
そこで、簡単なセルフチェックの方法をお伝えします。
1.加齢臭が発生しやすい脇の下や耳などの場所をコットンまたはティッシュで強く拭き取ります。
2.このコットンまたはティッシュの臭いを嗅ぎます。
3.臭いがしたら、加齢臭の可能性が高いということです。
「もしかしたら…」と思ったら、一度セルフチェックをしてみてください。
また、毎日の生活スタイルも見直してみて、以下に心当たりが多い人は気付かないうちに加齢臭に一歩近づいているかもしれません。
- 睡眠不足
- 運動不足
- 不規則な生活が続いている
- ストレスを抱えている
- 冷え性
- 便秘がち
- 喫煙している
- 野菜をあまり食べず、肉類や揚げ物などが多い
- アルコール類をよく飲む
- スナック菓子をよく食べる
[2] 加齢臭の原因「ノネナール」
次に加齢臭の原因についてみていきましょう。
加齢臭の原因となる「ノネナール」とは?
加齢臭とは、毛穴から出てくる「ノネナール」というニオイの成分が原因で発生するものです。このノネナールは、皮膚の中の皮脂腺で脂肪酸が“酸化”することで発生します。要するに、加齢臭は酸化した脂の臭いなのです。
家の中のゴミ箱で例えると、ゴミ箱に生ごみを捨てると、1~2日経つと腐った嫌な臭いが発生してきます。でも通常のごみ箱なら蓋を閉じていれば臭いもありません。しかし、ゴミ箱を開けた状態にしておいたり、ゴミ袋に無数の穴をあけると、その穴から腐った臭いがしてきますよね。
これと同じで、ゴミ箱が皮膚の中だとすると、生ごみが脂肪酸です。ゴミ袋の無数の穴が毛穴とすると、放たれた腐ったにおいが加齢臭ということになります。
また、このノネナールは1年を通じて分泌されるので、汗とは違い季節を問わずに発生します。そして、ノネナールは皮脂から発生するので、水に溶けにくくお風呂やシャワーだけでは落ちにくいのです。加齢臭を抑えるためには、ノネナールを減少させる必要があるのです。
ノネナールは“酸化”が原因で発生するのですが、酸化が起こる原因は大きく2つあります。
・食生活の乱れ
ビタミンやミネラルなどの野菜が不足した生活をしていると脂肪が燃焼しなくなります。脂肪分が体に蓄積していくので、酸化を起こす大きな原因となります。
・運動不足
運動しなくなると、脂肪分が燃焼しにくくなります。そうすると、脂肪分が体に蓄積していくので、酸化を起こしていきます。
[3] 加齢臭の原因「活性酸素」
さらに、加齢臭を増加させる原因が「活性酸素」です。活性酸素は体内の物質に結びついてサビつく、「酸化」させる働きがあります。
活性酸素とは?
活性酸素とは、老化を促進する原因物質のことです。活性酸素は体内に侵入した菌やウイルスを撃退してくれるなどの、体にとって良い働きもします。しかし、老化やがん等の病気の原因、またさまざまな生活習慣病を引き起こす原因ともなる物質なのです。
ですので、活性酸素をなくせばよいのではなく、増えすぎないようにすることが大切なのです。
※写真はイメージです。
活性酸素が増える原因は、喫煙やストレス、紫外線や大気汚染です。通常、人間の体は自然に活性酸素が過度に発生するのを抑える働きがあります。
しかし、40歳前後から、活性酸素を抑える力が弱まってしまうのです。20代の頃は少々の食生活の乱れなど全く影響のなかったものが、40歳頃から加齢臭がしてきた場合は、この活性酸素を抑える力が弱まってしまったからなのです。
どこから加齢臭は発生するの?
体全体に皮脂腺ははりめぐらされていますが、主に加齢臭が発生しやすい場所は以下の通りです。
■ワキ
■耳の後ろ
■顔
■頭皮
■背中
■胸元
■デリケートゾーン
これらの部分は体の中でも皮脂腺の量が多い場所です。皮脂の量も増えてしまうので、加齢臭が発生しやすいと考えられます。
加齢臭の原因となる食べ物は?
一般的に言われているのは、肉類やジャンクフード、チーズなどの乳製品です。
肉類は消化に時間がかかりますし、ジャンクフードなどのファストフードやカップラーメンは添加物がたくさん含まれています。添加物は消化しにくいので、身体を錆びつかせる活性酸素を作ってしまいます。
[4] 加齢臭対策
日常生活を見直そう
・適度に運動しよう
運動をすることで体内の活性酸素を減らして、酸化を防ぐことができます。オススメなのは、有酸素運動です。エスカレーターを使っていたのを階段にするなど、少しずつ変えていくことも大切です。
・ストレスをためないようにしよう
ストレスを感じると、体内の活性酸素が増加してしまいます。日頃の仕事などでストレスがたまってしまうこともあると思いますが、リフレッシュする時間を意識して持つようにしましょう。
・規則正しい生活を送ろう
睡眠不足だったり、夜遅くまで仕事をすることでストレスにつながったり、食生活の乱れにもつながります。早寝早起きなど、体のリズムを整えることも大切です。
食生活を見直そう
・食事
脂っぽい食べ物は脂肪を体内に増やすので、加齢臭に直結します。ビタミンC、ビタミンE、カロチンを含む緑黄色野菜には抗酸化作用があるので意識して摂取しましょう。
また、肉類を食べる時は野菜も一緒に食べるように心がけてください。
・タバコ・アルコールは控えめにしよう
喫煙やアルコールも体内の酸化を助長してしまいます。禁煙が無理な場合は、本数を減らすなどし、アルコールも控えるように意識することが大切です。
・サプリメントもおすすめ
食生活を見直すとともに、サプリメントを取り入れることもおすすめします。食事からも栄養素を摂ることはもちろん可能ですが、目標としている量を確実に摂取できるのはサプリメントが手っ取り早いのです。あくまでもメインにはならず、栄養素の摂取を助けるものとして取り入れてみてください。
[5] 加齢臭対策とともに、生活習慣を見直そう
いかがでしたか。男女共通して、体の臭いという悩みは尽きることがないと思います。しかし、原因が分かれば対策もできます。少しでも気になるようでしたら、パートナーや仲のよい知人に思い切って聞いてみるのもいいかもしれません。まずは今日からでもできる、日常生活や食生活を見直してみてくださいね。